競馬の研究

パリミュチュエル方式における投票行動と本命・大穴バイアス

競馬や競輪などで使われているパリミュチュエル方式は、投票された金額をいったん集め、的中した人たちで分け合う仕組みです。この方式では、投票が集まるほど配当が下がるため、オッズは投票者全体の予想を映したものになります。

ところがそのオッズには、古くから「本命・大穴バイアス(favorite-longshot bias)」と呼ばれる歪みが知られています。人気のない馬は、オッズから期待される勝率よりも実際の勝率が低く、人気のある馬ではその逆が起きるという現象です。

土谷洋平さんとともに、実際の競馬のデータと、投票者の振る舞いを単純化した数理モデルを使って、この歪みがどのようにして生まれるのかを調べています。

本命・大穴バイアスの強さが、投票者の分布によってどう変わるかを示したグラフ

投票者が締切間際に集中して投票すること、そして各投票者が期待値のもっとも大きい馬に賭けることを仮定して、オッズの分布を計算機の中で再現しました。その結果として分かったのは、投票者が全員この意味で効率的に振る舞ったとしても本命・大穴バイアスは消えず、かえって強く現れる場合があるということです。上の図は、投票者の予想の散らばり具合を変えたときに、バイアスの強さがどう変わるかを示しています。縦軸が1を下回っているところが、バイアスが生じている状態です。

論文

Kazutaka Kurihara and Yohei Tutiya: "Efficient Micro-Behaviors in Pari-mutuel Betting System and FL Bias," Journal of Gambling Business and Economics, Vol.14, No.2, pp.17-29, 2021. Site

Yohei Tutiya and Kazutaka Kurihara: "Parimutuel System of the Japanese Race Track: Voting and Ranking Process," Journal of Gambling Business and Economics, Vol.9, No.2, pp.27-39, 2015. Site

Kazutaka Kurihara and Yohei Tutiya: "Efficiency in Micro-Behaviors and FL Bias," arXiv:1805.04225, May 2018. arXiv

(c) Kazutaka Kurihara